欲張りだから、演じることを離れることはできない。けどふと怖くなることはある。
『彼はまだ私の中にいますか』と。
演じることは自分の中の自分、を壊して、自分でない人格を流し込むことだから、ふと気づいたら空の器だけになって中にあった魂が見つからない、そうなることを何より恐れている。こわい。
だから彼ならこう笑う、こう俯く、こう思う、こう感じる…を、自分の身体が自分じゃないみたいに表現してくれること、を確認せずにはいられない。
自分探しの解答用紙を埋めて、漸く自分自身を自分が演じることができそうになってきた。でも、代わりにずっとそこを埋めてくれていた彼の居場所がなくなってはいないかと、それがほんとうに怖かった。
今すべきことではなかったかもしれない。でも、今感じたかった。
私は彼と歩んでいく。